最近では日本でも社員の副業を解禁する企業が増えてきています。本業と週末の副業で収入を伸ばすことができますが、副業に本腰を入れて本格的に起業したいと考える人も確実に増えています。でも「起業するには何をすればいいのか」「起業の仕方が分からない」「起業のアイデアがない人はどうしたらいいの」など不安に思っている方が多いのも事実です。

この記事では起業の仕方や方法、やり方を徹底解説し、起業で成功するために重要なアイデアの出し方などの秘訣をわかりやすく紹介していきます。

起業の仕方まとめ

起業するにはとても難しいイメージがありますが、意外と簡単に会社を始めることができます。以下では起業の仕方を簡単に6つのステップにまとめました。

  1. ビジネスアイデアを考える
  2. ロケーションを決める
  3. ビジネスプランを作る
  4. 個人事業主か法人か選ぶ
  5. 資金調達
  6. 営業開始〜行政手続きで登録完了

これらのステップ以外にもマーケティングやスタッフの雇用、在庫管理など様々な事柄がありますが、この記事では起業のやり方の基本についてのみ触れます。

起業するには何が必要?

起業のアイデア

まず起業の仕方を説明する前に、起業する方法で必要なことを確認しましょう。起業するにはビジネススクールに行ったりMBAを持っていたりするイメージがありますが、これらは必ずしも必要ではありません。個人事業主として起業する場合、開業から1ヶ月のうちに税務署で「個人事業の開業・廃業等届出書」を出せば完了します。法人を設立する場合は手間が少し増えますが、税務署や法務局、年金事務所などで手続きをすれば起業できます。

起業というと非常に大変で難しいことをするイメージがありますが、意外と簡単にできます。とはいえ、起業をすること自体が簡単でも、起業で成功することは別の話です。起業で成功するには起業アイデアや資金調達など重要な要素が数多くありますが、以下ではこれらについて解説していきます。

起業で成功するには?

起業する人の多くの最終ゴールは株式上場かもしれません。上場すれば会社株の最大の保有者である自分の資産価値はうなぎのぼりになり、一躍上場企業の社長となれます。しかし、起業のやり方や目標は様々で、必ずしも上場がゴールである必要はありません。「週末の副業のために起業アイデアを考えたい」というのでも良いでしょう。

ただ、有名起業家と比べてしまうために「自分には起業のアイデアがない」と考えてしまい、“確実に儲かる起業アイデア”の聖杯探しに明け暮れて行動に移せない人がたくさんいます。

起業は稼げることも重要ですが、まずは自分に合ったビジネスアイデアから初めてみることも大事です。効果的な起業アイデアの出し方として以下の2点を念頭に考えてみると良いでしょう。

  • 人々の“痛み”を取り除くアイデア
  • “ベスト”でなく“ベター”でいい

商売する上での基本は“誰かの痛みを解決してくれる”かどうかです。医者は患者の病気を取り除くことで稼ぎますが、これと同じでなくとも誰かの痛みや悩みを直してあげるだけでビジネスは成り立ちます。例えば犬の散歩代行サービスは飼い犬を散歩させる時間がなくて困っている人の悩みを解決できるサービスですが、コロナ禍によって犬を飼う人が増えてからこのようなサービスの需要が一気に高まりました。ニューヨークなど海外の大都市では年収1000万円を稼ぐドッグウォーカーも現れているほどです。ニッチな問題を解決できるサービスほど大きな需要が見込まれ、長期的に仕事が入る可能性があります。

また、起業のアイデアの出し方でよくある落とし穴が「その分野でトップにならなくては」と考えてしまうことです。まずは“ベスト”でなくとも人よりも“ベター”かを考えると有効な起業アイデアの選択肢が増えます。例えば田舎で起業するアイデアにパン屋を開きたいと考えたとして、日本一おいしいパンではなくてもその地域にある数少ないパン屋のなかでベターな味であればビジネスチャンスはあります。

起業に失敗してから色々学ぶよりも、事前に知っておくと、失敗する確率が格段に下がるので、起業のやり方には、事前に調査が必要です。

起業のやり方 1. ビジネスアイデアを考える

起業のはじめ方

まずは、細かな起業準備に取り掛かる前に、自分の起業するためのアイデアが必要です。「起業のアイデアがないので困ってる」という方は難しく考えすぎず、まずは自分のハードルを下げて以下の起業アイデアの出し方で考えてみましょう。

  • 自分の得意分野か
  • 優位性
  • 利益率

自分の得意分野か

自分のビジネスですから、まずは自分が夢中になれるものを探しましょう。「好きではないが稼げると思うから」という理由で選ぶと長続きしませんし、他の“もっと好き”な競合他者とどうしても熱量で劣ってしまいます。決して“ベスト”である必要はなく、他の人と比べて自分がちょっと優っている点、得意なことを考えてみると良いでしょう。

優位性

起業アイデアが見つかっても、儲からないと話になりません。そこで自分のアイデアには優位性があるのかを考えましょう。例えば上記のパン屋の例であればその地域にあるパン屋が少なければ優位性はあると言えますし、パン屋が多くとも米粉のパン屋が自分だけであることも優位性となります。そのほかにも自社だけの特許や海外の商品を独占的に日本で販売する権利を得た場合なども優位性となります。

利益率

自分の好きなもので優位性のある条件を見つけたら、次に利益が出るかどうかを検討しましょう。業種によって異なりますが、租利益(売上から原価を引いた単純計算の利益)が最低でも20%出ないとビジネスとしては成り立たないと一般的に言われています。例えば極上のラーメンを作ったとしても、材料費などのコストで租利益率が20%を下回ってしまうようであれば危険信号でしょう。

起業のやり方 2.ロケーションを決める

ビジネスアイデアが決まれば次にロケーションを決めましょう。最近ではリモートワークも増えているため、在宅で出来る仕事なのか、オフィスや店舗を構える必要があるのか、その場合はどこがそのビジネスにとって立地条件がよいのか、などさまざまな条件を検討する必要があります。これは後に役所に事業申請する際や税務申告をする際に必要となります。

起業のやり方 3.ビジネスプランを作る

起業アイデアと場所が決まればビジネスプランを作りましょう。これは起業の資金調達方法で重要となります。

ビジネスプランで大事なのは、自分のサービスや商品の強みが他社と差別化できていることが明確で、将来性があることが分かりやすく伝わる点です。例えばオーガニック食品の通販ビジネスの起業を検討しているとして、自分のプランが競合他社どう違うのか、どのような優位性があるのか、利益率はどれくらいか、などデータとともに明示できるとビジネスプランの有望性が伝わりやすくなります。

起業のやり方 4. 個人事業主か法人かを選ぶ

個人事業主と法人の違いは、個人事業主は個人で独立して事業をしているのに対し、法人は会社組織を設立して事業を行う形態です。つまり前者はフリーランスで仕事をしている人などで、後者は自分の事務所などを法人格にして企業として事業をしていることになります。

よくある質問で、個人事業主と法人はどちらがよいかと聞かれることがありますがそれぞれメリット・デメリットがあります。例えば個人事業主なら税務署に書類の届け出をすれば無料で手続きが完了しますが、法人だと色々な行政機関に登記する手間と費用が掛かります。さらに社会保険料の会社負担が生じることもあり出費が増えます。

一方、法人化のメリットは経費化できる広くなることで節税効果が高まったり、資金調達が受けやすくなったりする可能性があることです。個人事業主は所得税を納税しなければなりませんが、これは累進課税なので稼げば稼ぐほど納税額が増えます。それに対して会社にすると法人税を支払いますが、これは最大税率23.2%なので黒字が大きいとそれだけ節税効果が高くなります。また、2023年10月からインボイス制度が導入され、所得が1000万円以下の免税個人事業主も課税事業者になると納税義務が生じるためフリーランスの事業主などに影響があるのも懸念材料です。

自分の起業アイデアの出し方次第で個人事業主としてビジネスを始めるか、会社を設立するかを決めましょう。まずは個人事業主で始めて利益が大きくなったら法人化することもできます。

個人事業主のメリット:

  • 登記費用が無料
  • 税務申告が簡単
  • 利益が少ない間は税率が低い
  • 事務負担などの出費が少ない

個人事業主のデメリット:

  • 収益の増加に応じて所得税も増える
  • 経費の範囲が狭い
  • 社会的信用に劣る可能性
  • インボイス制度で影響が出る可能性

法人化のメリットは節税効果が高くなることですが、収益が低い場合個人事業主の方がメリットが大きくなる場合もあります。

法人化のメリット:

  • 資金調達を受けやすい
  • 経費の範囲が広い
  • 収益が増えれば節税効果が高い
  • 社会的信用度が高くなる
  • 欠損金(赤字)の繰り越しができる

法人化のデメリット:

  • 登記や税務申告などの手間と起業費用など費用がかかる
  • 社会保険などの会社負担が増える可能性
  • 収益が低いと納税額が高い

起業のやり方 5. 資金調達

これは必ずしも全ての業種に当てはまる訳ではありませんが、起業アイデアによっては資金調達が必要になることがあります。この際、前に作ったビジネスプランの出来によって銀行などから融資を受けられるかどうかが決まってきます。起業資金の調達方法はリンク先の記事で解説しています。

起業のやり方 6. 営業開始〜行政手続きで登録完了

事業の届出をする前に仕事を始めても大丈夫なのか、という質問がよくありますが、営業自体は始めても大丈夫です。営業を始めてから1ヶ月以内に届出をする必要がありますので、できるだけ早く手続きは行うようにしましょう。

個人事業主の方は「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出するだけで完了します。法人の方は税務署以外にも法務局やその他の役所に届出する必要があり、費用もかかりますのでご注意ください。法人にも種類があり、営利法人の場合は主に株式会社、合同会社、合名会社があります。以前は有限会社がありましたが、株式会社の規定が緩和され、1株からでも株式会社が設立できるようになったことから日本では廃止されました。

以上では起業の仕方や起業するための手続きの仕方などを簡単に紹介しました。税務申告などに不備があるとペナルティが課されることもあります。悪意がなかったとしても場合によっては追徴課税なども起こり得ますので、実際に起業するには税理士や行政書士などのアドバイスも受けるとよいでしょう。

起業の方法アドバイス

企業のやり方

「起業したいけどアイデアはない」という方はたくさんいるでしょう。「起業するには特別な能力が必要なのでは」と思う人もいますが、身の回りの小さな事柄から起業アイデアを得る方法があります。自分にとっては強みだと思っていることではなくても、他人からすると魅力的に見えることはあります。上記の通り、決して“ベスト”な能力ではなくても平均の人よりもやや優れているだけでも強みになり、ビジネスの売り方を工夫すれば競合他社に勝つことも可能です。起業のアイデアの出し方として有効なのが自己分析です。

起業アイデアの出し方 その1 – 自己分析

起業のアイデアの出し方で王道なのが自己分析です。まずは己を知り、自分に何ができるかを知ることから起業のアイデア探しは始まります。

自己分析をする際、自分がやってきたことだけでなく自分のコアスキルや強み、弱み、専門性、パーソナリティタイプ、現在あるネットワークなどを書き出してみましょう。例えばこれまでプロダクトデザインに携わっていたため、独立して幅広いプロダクトのプロデュースを手がける起業アイデアを思いついたとします。しかし自己分析をしてみた結果、自分はデザインをするよりもチームマネジメントの方に能力が長けていると気づけば、プロデューサー業務ではなくアドバイザーやコンサルタントとして起業する方が向いていると分かるかもしれません。

起業アイデアの出し方 その2 – ニッチを狙う

上記の通り、まずは自分の得意分野で考えると良いと書きましたがここでプラスして考えたいのが“ニッチ”な市場です。「ニッチ」とは「隙間」という意味ですが、隙間な分野ほど競合他社が少なくブルーオーシャンであることが少なくありません。「競合他社の隙間を見つけるのは簡単じゃない」と考えがちですが、競争率の高い市場でも異分野を掛け合わせればニッチなものを見つけることができます。

海外の起業アイデアの例で言うと、パンは欧米で主食となっている食卓の定番で多くのメーカーがしのぎを削っていますが、グルーテンアレルギーの人でも食べられる米粉のパンになると一気に競争がなくなります。

別の海外の起業アイデアで言うと、ラーメンは人気急上昇中の日本食ですがヴィーガン向けのラーメン屋はニッチな海外の起業アイデアです。出会い系アプリは海外でも人気ですが、離婚した人が再婚相手を探すためのニッチな出会い系アプリも最近登場した海外発の起業アイデアです。このようにニッチなジャンルで成功している海外の起業アイデアが良い参考になるでしょう。

日本国内でも地方に目を向ければニッチはあります。田舎の起業アイデアを考える時もその地域特有の何かで出来ることがあります。例えば自然の美しい田舎で起業アイデアを考えるなら、森林浴ガイドや森の中でのヨガコースなど人気になるでしょう。また外国人向けに英語や中国語、韓国語で対応すればそれだけニッチとなり、競合他社は減るため優位性が高くなります。また過去に実際にあった田舎の起業アイデアでは、地方の過疎化を強みに変えて廃校や何もない野原を映画製作会社に撮影ロケーション地として提供するビジネスも話題になりました。

なので「何をすればいいか分からない」と起業アイデアの出し方で困っている方は、まずは何がニッチなのかを考えると良いでしょう。隙間がなさそうでも、別のアイデアを掛け合わせると意外と競合他社がいないことに気づくかもしれません。特に田舎の起業アイデアは副業や週末だけでできるものも数多くあるため、優位性のあるビジネスが見つかるかもしれません。

起業アイデアの出し方 その3 – 痛みや悩みを解決する

上述の通り、人々の痛みや問題を解決し、そのお礼の対価として金銭をもらうのがビジネスの基本でもあります。なので「起業したいけどアイデアが…」と困っている人はまず自分の悩みや痛みを考えてみましょう。そうすれば「この悩みは自分だけではないはず」と気づき、そこからビジネスアイデアに発展できるかもしれません。

例えば女性に付き物の生理は全ての女性にとって大変です。特に仕事をしている人であれば漏れを気にするのは日常茶飯事です。女性向けの起業アイデアを考える際、女性のお腹を締め付けず衣服への漏れを防いでくれる下着やアイテムは需要が見込まれます。女性目線で起業アイデアを考えると斬新な製品や意外な着目点などが見つかるかもしれません。

またほかにはLGBTQ+の性的少数者の方でも着やすい服などは高い評価を受けている海外の起業アイデアがあります。トランスジェンダーの方はデザインが好きでも服のサイズが合わないという悩みがありました。これを解決するためにジェンダーにかかわらず着られる服を提供することでLGBTQ+のカスタマーの抱える問題を解決することができます。このように女性目線で起業アイデアを考えたり、別の利用者目線でビジネスを考えたりするとチャンスが得られるかもしれません。

起業するにはレバレッジを使いこなす

起業するにはお金が必要ですが、お金がないからといって起業を諦める必要はありません。賢く起業するにはレバレッジを理解するが大事で、特に副業や週末だけの起業アイデアを考えている方はレバレッジを使いこなせると優位性が高くなります。

よくある質問の中に「100万円でできる起業アイデアが欲しい」というものがあります。しかし、100万円の起業アイデアを考えたところで100万円きっかりの予算に固執すると選択肢が狭くなります。ところが銀行融資などレバレッジを効かせれば元手の100万円で大きなリターンを得ることも可能になります。例えば起業アイデアが100万円の資金で年1000万円稼ぎたいとすると大変ですが、900万円借りて1000万円の利益を得る方が効率的と言えます。

レバレッジを使うのはお金だけではありません。時間もレバレッジを効かせると収益率が上がります。特に副業のための起業アイデアや週末だけ稼ぐことを考えている方は時間が少ないです。その限られた時間内で大きく稼ぐのなら、一部のタスクをアウトソースすることで時間を有効活用し、生産性を上げることも効率的な方法です。

さらにインターネットをつかった情報商材の販売やコーチング業などは在庫なしで稼ぐことができるため、0円の起業アイデアとしても魅力的です。「0円でできる起業アイデアだから自分だけで頑張ろう」とするのもいいですが、仕事を他者に割り振ることで生産性を上げるのも手段の一つでしょう。コーチングビジネスをする場合、0円の起業アイデアとして無資本で始めることは可能ですが、その分資金をマーケティング活動などに投じてより多くの顧客を獲得することもできます。そのため、少ない起業の資金が必ずしも効率的なビジネスということではありませんので、0円でできる起業アイデアを検討されている方はレバレッジを効かせることも考えてみると良いでしょう。

100万円の起業アイデアも0円の起業アイデアも、結局のところ最も大事なのは収益率です。自分に合ったやり方で起業アイデアをデザインすることが大事です。

なお、最近では、創業補助金などが充実しているので、申請できないか調査してみると良いでしょう。

起業するには – まとめ

この記事では起業するには欠かせない起業アイデアの出し方を始め、起業の仕方をわかりやすく解説してきました。起業のやり方自体は非常に簡単ですが、成功するには起業アイデアが肝心な要素となります。

起業アイデアを考えるためには、人々の悩みを取り除けるサービスやニッチな分野、そして何よりも自分が得意とする熱意のある分野でビジネスを起こすことに着目するようにしましょう。また起業アイデアを考える方法として自己分析を行い、まずは自分自身を見つめて何ができるのか、何が得意で何を社会にもたらすことができるのかを考えることも起業アイデアの出し方として良い方法となります。

副業や週末限定で起業アイデアを考えている人も増えています。田舎でできる起業アイデアや女性・主婦視点の起業アイデア、さらには大学生視点で起業アイデアを考えるとニッチで優位性の高いビジネスが見つかるかもしれません。起業の成功例についてはリンク先の記事で解説していますのでこちらも併せて参照すると起業するには何が必要かを分析するための役に立つかもしれません。