コインベースCEO和解へ

米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは27日、CNBCのインタビューに応じました。アームストロング氏は、業界最大手のバイナンスが米国政府との司法取引に応じたことで、暗号資産業界が大きく前進すると発言。

コインベースは仮想通貨取引所のほか、ステーブルコインUSDC(USDコイン)やイーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンBASE(ベース)の開発なども手がけ、日本でも高い知名度を誇ります。なお、コインベース日本部門は2023年2月を以て撤退しています。

バイナンスと米司法省の和解により、暗号資産業界は次のステージに進む

アームストロング氏は、米CNBCのインタビューで「バイナンスと米司法省との歴史的な和解により、暗号資産業界のスキャンダルは落ち着くだろう」と語りました。

米司法省は21日、バイナンスおよびチャンポン・ジャオ(CZ)CEOに対し、マネーロンダリング防止法違反、ハマスやISISなど制裁対象グループとの取引の容認、未登録送金事業の罪により、執行措置を行うことを発表。バイナンスは有罪を認め、43億ドル(約6,370億円)の罰金支払いおよびCZ氏のCEO退任を条件に、司法取引を行いました。

アームストロング氏はバイナンスへの執行措置に関し、「暗号資産規制が明確になることで、とくに金融機関からの投資が増えるだろう」と発言。暗号資産が、マネーロンダリング、詐欺、テロ資金調達といった目的で悪用されているという指摘に対しては「違法行為があったのは事実だが、我々が見た限りでは実際には1%未満だ」と反論しました。

コインベースCEO、英首相が開催するグローバルサミットに参加

アームストロングCEOは27日、英国のグローバル・インベストメント・サミットに参加。同サミットは英首相が金融機関やテック企業などの業界大手企業のCEO200人を招待し、年に2回開催するイベントです。英国では22年10月、仮想通貨肯定派のリシ・スナク氏が首相に就任し、現在、関連規制の整備が進んでいます。アームストロング氏は同サミットでリシ・スナク首相のリーダーシップに「感銘を受けている」と述べ、コインベースの英国市場への注力に含みを持たせました。

おすすめ仮想通貨を取り揃えるコインベースは現在、証券取引法違反の疑いで、米国証券取引委員会(SEC)と裁判中です。コインベースはSECの提訴却下を求め、これに関する口頭弁論を2024年1月に予定。アームストロング氏は、SECとの裁判にかかわらず、依然として米国市場へ積極的に投資を行っているとインタビューで語っています。

なお、コインベースの株価は29日、128.27ドルを記録し、2022年5月以来、18カ月ぶりに最高値を更新。バイナンスとCZ氏が米国で規制違反を認め、司法取引に応じたことをが好影響を与えたもようです。

Coinbase株価
コインベース株価(TradingView)