ニュージーランド、仮想通貨ATMを展開へ
米国や英国、カナダ、オーストリアなどの一部の国々では仮想通貨に対応したATMが設置されていますが、ニュージーランドでは世界に先駆けて国レベルで仮想通貨ATMが普及しそうです。
米国発の企業Ollivは2015年に創業し、世界で4000台以上の仮想通貨ATMを設置した実績があります。同社ではこれまでに10台以上の仮想通貨ATMをニュージーランドに展開していて、同社によるとニュージーランドは有力な仮想通貨のマーケットだと見ているそうです。最近の調査によると、10人に1人のニュージーランド人が仮想通貨を保有していることが明らかになっています。
ニュージーランドでは過去にも仮想通貨ATMを設置した企業はいくつかありましたが、いずれも長くは続かず撤退しています。
暗号資産に特化したATMは世界中で広がっており、アジア太平洋地域ではシンガポールやインド、韓国などで利用できるとされています。また、米国は世界でも最多の9000台近くの仮想通貨ATMを有しており、次いでカナダがおよそ1500台、英国が1000台の仮想通貨ATMを設置していますが、普及率は極めて低いのが現状です。
仮想通貨ATMのメリットとしてはビットコインやイーサリアム、テザー(USDT)を即現金化できる点にあるとされています。暗号資産はDEXのような分散型の取引所のため休みなく相場は動いています。しかし、仮想通貨を現金化するためには自分の仮想通貨のウォレットから取引所で換金する必要があり、手間がかかりました。そこで仮想通貨ATMがあれば深夜でも休日でもリアルタイムのレートで仮想通貨をフィアット通貨(現金)に交換することができます。
世界各国では仮想通貨の取り扱いについて依然として議論が分かれており、中国では仮想通貨が全面的に禁止になっています。日本でも仮想通貨への規制は世界の中でも厳しい部類とされており、仮想通貨の税金制度が複雑なこともあり制度を変える動きが出ています。
そのなかでもニュージーランドは世界各国の政府の中でも仮想通貨規制に対して慎重な姿勢をとっている数少ない国となっていて、2019年には世界初の仮想通貨による給与支払いを合法化したことでも話題となりました。
同国は適応性と現行法の基づく一貫性を重視しており、暗号通貨のエコシステムを現在の金融システムにどう応用できるかを探っています。ニュージーランドで行われた研究によると、安易な導入に慎重な姿勢を見せている一方、過度に規制や禁止をすることで暗号資産産業の成長を妨害しないことにも注意しており、今後も同国では仮想通貨の普及が加速しそうです。